古野のブログ

リーダーは時間を創るところから

2018.12.21

「忙しい」と言っているリーダー、魅力的ですか?

仕事が出来る人材ほど『時間に余裕』がありますね。今日は時間に関して、考える機会を提供できればと思います。

組織論の原則に、「例外事項処理の原則」があります。
現場はある程度標準化された範囲で運営されます。一般的に言えば「オペレーション・マニュアル」です。しかし、常に標準化通りで対応できるわけではありません。例外事項が発生します。その時に初めて「上長に相談する」のが組織論の原則になります。
相談された上長は、標準化の範囲では判断できないので、その時の状況、状態等々の情報を入手し、判断ないし決断していくことになります。
コールセンター用語で上位者、上席者の指示を仰ぐことを『エスカレーション』(オペレーター自身だけで対応が困難な場合、上位の管理者やスーパーバイザーなどに交代して対応してもらうこと)と言いますが、まさにそのことです。
コールセンターでは現場スタッフに多くのことを学ばせるよりも、例外事項が発生すれば経験・知識が豊富な上長が判断する方が合理的ということなのです。

この原則に則ると、一般職は課長、課長は部長、部長は担当役員、そして社長と、それぞれが一つ上の上長に例外事項の処理をお願いすることになります。つまり、社長は「その組織において最大の例外事項を処理できる人材」なのです。
そのためには、「いつでもすぐに対応できるよう常に時間に余裕がある状態」にしておくことが求められます。

先日、あるメーカーのプロジェクトリーダーAさんは「忙しくて、準備不足となり、その結果プロジェクトに遅延が発生しました。準備しないと駄目だ、とわかっているのですが…。とにかく忙しいのです」と。
全国の多拠点で展開するサービス業のエリアマネジャーBさんは「現場は楽ですよ。仕事を任せてしまえば、僕はすることがない。本部と違って監視もされていないし。何かあつた時だけ駆けつければいいんですから」

AさんとBさん、どちらが将来的に良いリーダーになれると思いますか?

その後、Bさんは、最年少の執行役に抜擢されました。

上長の絶対的な業務(権限移譲をすればするほど、最後に残るもの)はこの「例外事項処理」なのです。〝未来に向けた意思決定〟は、その最たるものになります。
だから、「組織論の原則」なんですね。「ティール組織」で提唱されたようなフラット型で全員の合意で決める組織であっても、時間の猶予がない時は「暫定的にトップが決めることになる」と事例も紹介されていましたね。

例外事項とは事前に予測した範囲を超えているので、照らし合わせる基準は『企業理念』であり、『顧客価値』であったりします。

ただ、一方で時間を創ることが「マネジメントで一番難しい」とも言われます。
だからこそ、部下を育てて、いつでも任せられる状況を作り出さないと〝良いマネジャーになれない〟と言われるのです。

皆さんは、時間に余裕はありますか?pixta_41950210_M

株式会社ヒューマンロジック研究所 代表取締役

古野 俊幸(ふるの・としゆき)

関西大学経済学部卒。
新聞社、フリーのジャーナリストなどを経て、1994年、FFS理論を活用した最適組織編成・開発支援のコンサルティング会社・CDIヒューマンロジックを設立。
CDIヒューマンロジックのホールディングカンパニーとして、1997年に株式会社イン タービジョンを設立し取締役に就任。2004年4月からインタービジョンの代表取締役に就任。その後、社名変更を経て、現職。
現在まで約600社以上の組織・人材の活性化支援をおこなっている。チーム分析及びチーム編成に携わったのは,40万人、約60,000チームであり、チームビルディング、チーム編成の第一人者である。

A 16  B 9  C 14  D 17  E 3 / DAC

使命感、決断力をもって、有事に変革を推し進めることを得意とする。組織先導型。

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