古野のブログ

悔しさをバネにする

2018.03.02

冬季オリンピックが終わりました。いろいろと感動があり、盛り上がったという印象です。
金メダル4つを筆頭に銀5銅4合計13個は過去最高らしいですね。

メダルを取った選手たちへのインタビューで感じたのが、皆さん一度や二度「挫折」や「失敗」を味わい、悔しい思いをしたということです。
そこから逃げる道もありました。引退することも。しかし、彼らは自らに問い掛け、内省して、「目指したいものは何か」「足りないものは何」を見出して、また歩き出した結果として、「メダルに届いた」ようです。
ここから学びたいのは、「悔しさを味わうこと」「内省すること」「足るを知る」ことの大切さ。
そして、そこから「自ら能動的に動くこと」でしょう。

著名なアスリートは「自分のプレイ(戦いやゲーム)を映像を再現するかのごとく振り返りが出来る」と言われています。筑波大学のスポーツ心理学の教授は「パフォーマンス評価の中に必ず『思い通りだったか』を確認する項目を入れていますが、この項目の高い選手ほど全体のパフォーマンスが高い」と教えてくれました。
それはなぜか、それは勝つために徹底的にイメージをしているからです。本番の自分のプレイやその時の相手の動きを事細かにシミュレーションしているからです。だから、実際の結果との差分がわかる。わかるから次から対応できている。出来なかったことを、反省材料にできるからです。
メダリストたちは、まさに「振り返りが出来ていた」そして「それを変える取り組みをした」のです。
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では、このことをビジネスの世界に置き換えてみましょう。
皆さんは、仕事で悔しくて泣いたことはありますか? まず、そこから、本気かどうかが問われる問題ですね。
次にプレゼンでも、商談でも会議でもいいので、事前にとことんイメージ化したこと、シミュレーションしたことはありますか? 「こうプレゼンすると、こうなるはず」「おそらく、こんな質問が来るだろう。では、こう切り返す 云々」
契約に漕ぎ着けたいのですよね。プランを通したいのですよね。
しかし、実際には、そこまで考えて会議資料を作成したとか、徹底的にシミュレーションしてプレゼンのリハをしたとか、ほとんど聞きません。ジョブスのプレゼンリハーサルは有名ですが、彼ほどの経験ある方でも、徹底したリハをしているのです。それは本気だからです。
ディベートでは、ゲームの前に「想定問答」を準備します。それでもその通りにはいかない。国会中継をたまに見ますが、あの〝やりとり〟はひどいものです。このレベルが日本の最高府なので、ビジネスマンのテイタラクには、仕方ないと言えば仕方ないのですが…。

ある企業で「次世代リーダー育成プロジェクト」を支援しました。6か月間の集大成として最終日に事業案のプレゼンをしてもらいます。プレゼン後、参加していた一人の女性が「悔しくて涙が止まりませんでした。人生で初めて味わう感情です」と。
途中で「妥協してしまった」ことが原因で、中身は「発表のため」と割り切り体裁を整えただけだったのです。本人たちも悔やんでいました。さらに、リハーサルで他チームと差を痛感し、プレゼン辞退を申し出たにも関わらず、事務局側が、全員頑張ったという〝体裁を整えるため〟に発表させたことも、その悔しさを倍増させたようです。「居たたまれなくなった」と語っていたのです。
後日談ですが、彼女はその悔しさをバネに内省して「おかしいと思えばズバッと言う。それは相手に対しても結果に対して責任を持つことだ」と目覚めたのです。「厳しいことを言える人」という評価を得て、当時の最年少プロジェクトリーダーになったのです。

「徒競走で順番をつけない」「学芸会では全員白雪姫」と馬鹿げたことがまかり通っている学校があるようです。誰が何を求めて取り組んだ仕組みなのか、不思議でなりません。
これはまだ笑い話で済みますが、ビジネスの世界でも同様に「悔しい思いをさせない」「明らかな差をつけない」「原因の追究で人を限定しない」ことにどうも取り組んでいるように感じます。もちろん〝個人攻撃の材料探し〟ではなく、成長のため明確にすべきことなのにと思うのです。

知り合いの営業系の会社では「営業現場は売れる奴が偉いので、一度は部長に昇格させます。ただ、適性がないとわかれば降格させます。戻った奴は前にも増して売上を伸ばすのですよね。そこしか頑張れる場がないことを肌身に沁みるからです。そして、後任の部長にいいアドバイスをするのです。本人も周囲も納得する訳ですよ」
「きちんと降格させる」という運用が、気づきを促しているのです。

自己対峙こそ、学びの基礎

何が足りていなかったのか? を徹底的に考え抜く。そして見つけたことで、自ら行動におこす。
また「足るを知る」ことも大切です。「まだ金が取れる器ではない」次までに「金が似合う選手に成長したい」と。つまり、駄目だと落ち込むのではなく、「足る」を知ったのです。だから、改善の余地を見出せますね。

「悔しさ」をきっかけに内省する。言い換えると『自己対峙』です。そもそも何がしたいのか? 何が足りていないのか? 本気で取り組みたいのか? 自分の強みは何か?
と対峙し、ではどうする? と前向きに転換することでしょう。

こんな学びが出来る環境を作っていきせんか?

株式会社ヒューマンロジック研究所 代表取締役

古野 俊幸(ふるの・としゆき)

関西大学経済学部卒。
新聞社、フリーのジャーナリストなどを経て、1994年、FFS理論を活用した最適組織編成・開発支援のコンサルティング会社・CDIヒューマンロジックを設立。
CDIヒューマンロジックのホールディングカンパニーとして、1997年に株式会社イン タービジョンを設立し取締役に就任。2004年4月からインタービジョンの代表取締役に就任。その後、社名変更を経て、現職。
現在まで約600社以上の組織・人材の活性化支援をおこなっている。チーム分析及びチーム編成に携わったのは,40万人、約60,000チームであり、チームビルディング、チーム編成の第一人者である。

A 16  B 9  C 14  D 17  E 3 / DAC

使命感、決断力をもって、有事に変革を推し進めることを得意とする。組織先導型。

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