古野のブログ

withコロナ時代は「認活」ですよ

2022.10.05

 コロナ禍も収束が少し見えてきました。そんな中、リモートワークの効率性が一定の評価を得たと感じています。これからwithコロナ時代に向けて「リモート会議のあり方」を少し考えてみました。

 我々は、コロナ禍でリアルな講座が出来なくなり、リモートで「チームでの意思決定エクササイズ」を体験してもらっています。その議論の進め方がリアルとリモートで差が出ています。個性が影響する〝陥りやすい癖〟を知っておかないと、リモートでの効率化が逆に〝非効率〟に陥るのです。既に、なっていると思いますけど…。

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 リアルな会議とリモート会議の一番の違いは、「距離感が違う」ことでしょう。リアルだと議長席があり、そこから近い、遠いと物理的に距離が出ます。誰かの陰に身を潜めることも…。
 しかし、リモートでは全員の顔が映し出される画面(ギャラリービュー)がフラットです。もしスピーカービューにしていれば、「アップで見られている」ことになります。議長が誰かわかりません(職位の差がなかったとして)。
 どちらにしろ、保全性は周囲の評価が気になり「出来る人」と思われたい傾向があり、無意識に〝マウントを取る〟ことがあり、リモートだと上記の理由から、その行為が顕著になるのです。

 保全性の人は、枠組を設定しながら進行するのが安心なので、「役割を決めましょう」と提案します。もちろん自らファシリ役になることも多いのです。そして全員一律になるよう「順番に発言しましょう」と言い、場合により「では、一人2分で」と時間も定めるのです。
 特に経験のある得意なジャンルでは「自らの成功体験を語る」ことで、そのままリードしていきます。

 拡散性は、閃くような発想をします。誰かの発言を聞いて刺激を受けた時や、自ら妄想していて。そのため、誰かが話をしていても発言してしまうので『被せる』ことになります。本人は特に気にせず「あっ、ごめんなさい」程度です。
 その「閃き」に触発されて、他の誰かが閃き、その刺激から、侃々諤々の議論になる。拡散性はまさに〝触媒的な役割〟として輝きを見せるのです。
 リアルな会議だと、被せられてもそんなに気になりません。笑いになることもあり、スピード感が出て、盛り上がりそうな雰囲気が伝わるからです。

 しかし、リモートだと、前述したように保全性が仕切りやすく、「全員が均等に満遍なく発言する」「被せない」という暗黙のルールが支配して、周囲からマナー違反のように見られてしまうのです。さらに、ファシリ役は元々発言していた人の話しに戻すのです。急ブレーキがかかったようになり、会話は盛り上がりも広がりも見せません。
 拡散性はシラケてしまい、議論への興味がゼロになり、黙りこんでしまいます。触媒役が機能しないのです。

 また、リアルだと、ホワイトボードが発想を広げるために一役買うツールです。拡散性は、思いついたことを「なんか、こんな感じ」と図版や絵を書きながら言語化しようとします。それを見て他の人が付け加えたり、展開したり、まとめたり…。外からの刺激=「外向」に反応しつつ、チーム作業を実感しながら盛り上がりが増していくのです。

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 しかし、リモートでワークシートを「画面共有」すると、皆の顔が見られなくなります。しかも誰か一人の操作に頼ることになるので、チーム作業の実感が薄れます。広がりも乏しく、どちらかと言えば「埋めるような作業」に陥るのです。
 拡散性は、〝収束していく展開には興味がそそられません〟ので、口を閉ざしてしまうのです。

 リモート会議ゆえの事情が、『拡散性の強み』を引き出し難くしているのです。
 その結果、保全性の本来の強みである「検証」や「まとめ上げる力」も、あまり発揮されなくなるのです。

 生産性が高いチームは、多面的な視点があり、争点を議論するプロセスを経て収束していくのです。つまり、「発散する人」の強みが発揮されると、「検証する人」の強みを引き出されるのです。一人では発想できなかったレベルに昇華するからチームなのです。
 言い換えると『チームの相乗効果』とは、単に1+1の足し算ではなく、「掛け算」になるのです。

 ちなみに、保全性が高い人たちばかりの同質メンバーで会議をすると「方針は同じでした」「共感できます」と同意していくケースがほとんどになります。異口同音で「対立もなくスムーズであった」と評価するのです。しかし、議論すべき『争点』が出てきません。一人で考えたプランから発展していないのです。シビアに言えば、足し算ほどの人数分さえ出ていません。最悪は1+αで終わっているのです。これも「リモート会議あるある」かもしれません。

 このリモート会議の非効率性を防ぐためにも、個性の違いを意図的に組み合わせて、補完し合うようにメンバーを編成し、〝対立を歓迎する〟カルチャーを生み出すことです。

 「心理的安全性」とは、単に許し合う〝なあなあな関係〟ではなく、チームとしてより深い議論に昇華させていくために「正面からの対立」や「駄目出し」も出来るチームなのです。全員が目的を理解し達成させようと動き、個人では発想できなかったレベルに達する=相乗効果(1+1+1が3以上)が出るからです。その結果として相互の信頼感が醸成されるのです。
リモート環境で、折角フラットになったのですから、それを活かす上でも、それぞれの強みや弱み、違いを認め合って、活かしてチームとして生産性を上げる「認活」が重要な時代になったのです。

株式会社ヒューマンロジック研究所 代表取締役

古野 俊幸(ふるの・としゆき)

関西大学経済学部卒。
新聞社、フリーのジャーナリストなどを経て、1994年、FFS理論を活用した最適組織編成・開発支援のコンサルティング会社・CDIヒューマンロジックを設立。
CDIヒューマンロジックのホールディングカンパニーとして、1997年に株式会社イン タービジョンを設立し取締役に就任。2004年4月からインタービジョンの代表取締役に就任。その後、社名変更を経て、現職。
現在まで約600社以上の組織・人材の活性化支援をおこなっている。チーム分析及びチーム編成に携わったのは,40万人、約60,000チームであり、チームビルディング、チーム編成の第一人者である。

A 16  B 9  C 14  D 17  E 3 / DAC

使命感、決断力をもって、有事に変革を推し進めることを得意とする。組織先導型。

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