4行日記
第12回 リクルート海津優子さん
2020.10.27
海津優子さんの4行日記をご紹介します。
海津さんは、リクルートの人事部で組織開発、次世代人材開発に従事され、日々邁進されています。
海津さんは、今年弊社が行う「4行日記トレーニング」を受講。この講座において、ご自身が4行日記を50本書くことは勿論必須なのですが他者へアドバイスを行うコメントの訓練も修了し、社内スーパーバイザーとして合格されました。
海津さんのFFSデータは、A11 B15 C5 D18 E8です。
尚、4行日記に出てくる記号は、■は事実、◆は発見、●は教訓、★は宣言を表しています。
→以降の文章は、スーパーバイザーが書いたものです。スーパーバイザーは弊社代表の古野です。
<1本目>
客観的事実を書くことに苦戦していました。日常の出来事を、自分は主観的に物事を認識していることを認識した初回でした。発見の言語化が弱く、「それっぽい」気づきを書こうとして不自然でした。
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■性善説を元に決断して、”気持ちがすっきりした”
→なるほど。出来る限り客観的事実の方が好ましいですからね
具体的に「何」をしましたか? 事実がわかりませんね
主観的=内的な事実の処理〝 〟をつけるはOKです
◆人を信じる力は原動力になる
→それって誰の原動力ですか?
ご自身? 相手? もし本当に「信じていれば」、もっと自然体じゃないですか?
〝信じよう〟としているから、決めて「すっきり」のような?
相手にとっては、「信じられていること」が「原動力」の方がよさそうですね
◇信じられている確信は原動力
●ポジティブであれ
→これも、ありたいこと?
〇信じていることが安心さである
★私は、組織を変革する会社員です
→文法に注意。現在完了進行形にしましょう
「私は組織を変革している会社員です」
さて、「信じる」ことから、「組織の変革」は、やや飛躍があります
まずは安心、安全、自由、自在とか等々
考え直してください
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<4本目>
4行日記のルールに「否定的な言葉を使わない」があります。潜在意識を肯定的なイメージで埋めるためです。このルールのおかげで、自分が周囲が無意識に使う否定的な言葉に敏感になりました。「肯定的に言い換える」「相手の認識を想像しながら批判的意見を述べる」ことを意識できるようになったのは大きな果実でした。
また、手段の目的化を問いかけられることで、仕事の捉え方が変化し始めました。
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■否定と批判の言葉の違いを調べた
→なるほど
◆言葉の定義理解は、相互理解の基礎である
→なるほど
●言葉を学び、適切に使う
→そうですね
★私は、組織の相互理解を支援している人事開発担当者です
→「相互理解」はなぜ必要だと思ったのですか?
相互理解が「目的ではない」と思いますので、問い掛けです。
手段と目的を整理しましょう。
☆私は組織を活性化している人事開発担当者です
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<13本目>
この頃、私は「身の丈相応でない宣言よりも、堅実な宣言の方が良いのでは」と自己表現に悩んでいました。20代の頃は、キャリアに関しても野望を明るく宣言していましたが、子供を3人出産し、紆余曲折のキャリアを歩む中で「こうありたい」を描くことを諦めていました。でも、私は本当は大きいことを言いたい。
「影響力のある人間です」とスーパーバイザーに代弁され、解放感に満ちた感覚を得ました。
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■長女の描いた「家族の絵」の中で、私と夫が手を繋いでいた
→なるほど
微笑ましいですね
◆親の心の安定が、子の其れに反映する
→まさに
●良い手本であれ
→然り
★私は、他者と相互成長し続けている人間です
→良い宣言です
もう少し拡大するなら
☆私は影響力のある人間です
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<19本目>
この頃から、4行日記の内省効果を、文面上だけでなく日常で感じるようになり、自分の強みに意識を向けることで、ストレスマネジメントがしやすくなり、成果に繋がり、次の機会に繋がるという好循環が回る実感が持てました。
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■展開した施策に対し、新たな仕事の相談が5件あった
→なるほど
◆仕事の報酬は仕事
→まさに
●没頭せよ
→いいですね
★私は、幸せな人間です
→素晴らしい
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<26本目>
それまでのモヤモヤが吹き飛んだ1行です。
幼い頃から「あなたは向日葵のようね」と喩えてもらうことが多く、その通りのびのび育ってきた一方で、向日葵のように常に輝けない無力な自分を感じて悩んだ時もありました。
でも、改めて、自分の強みに目を向けることで、「向日葵」を語れるようになりました。
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■向日葵を接写した
→なるほど
◆鮮やかな大輪の中で、無数の種が育まれる
→なるほど
●率先して咲け
→然り
★私は、未来を創っている人間です
→素晴らしい
シーンが思い描けます。
完成度の高い四行ですね
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<27本目>
「概念化」に確信を持てたのが、この一本です。
空を見て、きれいだね、という感想で終わらない。事実の背景を捉え、自分のこととして引き寄せて、その法則性や、原理原則に気づくことが発見です。私は弁別性が低いこともあり、論理では腹落ちできないため、感想と発見の違いを体感的に体得できたのは、貴重な経験でした。仕事柄、育成をしている中で、「気づき」の概念理解は必須であり、仕事にも直結して活かすことができています。
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■夕方散歩に出たら空一面がピンク色だった
→なるほど
◆遊び心が偶発的な出会いを生む
→なるほど
●直感のままに
→然り
★私は、自由です
→素晴らしい
この四行は拡散にとって、秀逸です
同様の体験、発見はたくさんあります
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<39本目>
限られた文字数に意味を凝縮しようすると、「漢字」や「言葉」の意味を的確に捉え、より深く理解をしたいと思うようになりました。もともとヨガをするのでインド哲学に興味があるのですが、30本を超え、禅への興味が湧き出しました(興味が沸いただけで、これから学びたいです(笑))
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■子の誕生日を祝った
→なるほど
◆諸行無常である
→なるほど
●今を生きる
→なるほど
★私は、幸せな人間です
→なるほど
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<4行日記を通じての学び>
私と近い個性の方(D>E、B>A、C低)は特に、直感的で、何でも受け入れ、アナログなので、事実認識や、シャープな発見の言語化に最初は苦戦される方も多いかと思います。
でも、行動的で、色んな人の気持ちが分かり、潜在的な可能性を感じ取れる力があります。その本来持つ強みを生かす上で、事実の客観的認識力と、言語化能力を、型として学ぶことで、強みをより活かすスキルを身につけることができます。
私は、拡散第一で天邪鬼なので、すぐに原理原則から外れたがるのですが、原理原則を知った上で外れる行為と、知らずして外れる行為は別物です。物事は、「守破離」。4行日記は、型に沿った鍛錬を繰り返しながら(守)、自己の強みを意識し(破)自分らしさを開放していくこと(離)を支援してくれる学びの場です。
「個の強みを活かす」は立派な理念ですが、それを頭でわかることと、それを実践し習慣化することは別物です。FFS理論の活用推進者として、まずは自ら体現することが大事なことと思っています。だからこそ、私がまずは、私らしく、生きていきたいと思います。