古野のブログ
オペレーションを守ることが目的になる
2019.03.07
保全性の強みの特徴として、工夫改善を繰り返しながら、組織やオペレーションを安定させていくことが挙げられます。
「PDCAを回す」ことで、より無駄なく簡単に、より楽に出来るようにする。また、より居心地の良さを求めていく傾向にあるのです。これが強みなのですが、たまに困ったことになることもあります。それが「オペレーションの目的化」なのです。
少し過去の話になりますが、オペレーションが目的化してしまったケースを紹介します。
家電メーカーの大手の子会社(P社)なのですが、ここは出版&教育事業を手掛けています。このP社と我々は、FFS診断も販売する代理店契約をしていました。
ある日、このP社の営業担当に大手メーカーから「診断アプリの使用権の契約をしたい」と申し出がありました。担当者は大喜びです。しかし、受注契約を結ぼうとしていた時、P社の経理から「売上項目にないので、受注出来ない」と言われたそうです。担当者が営業部長と相談し、経理部門に「項目なんて新たに作ればいいのでは」と反論すると、「本社経理と相談したりする必要があり、手間がかかるのでやりたくない」と述べたのでした。この担当者も経理部長も保全性が第一因子でした。
弊社にも保全性の高いメンバーがいますが、同様のことが起こります。
アプリケーション導入や講座受付はオペレーティブな対応が必要です。きちんと手順を踏んで抜け漏れないように運営しています。そのため日々〝確実にオペレーションを回す〟ことが求められます。しかし、そのうちに手順が大事になり、手順以外のイレギュラー対応は『無理です』『対応出来ません』と伝えてしまいます。
つまり、元々は「お客様のためにあったはずのオペレーション」が、〝自分たちの安心のため〟にイレギュラーを嫌い、ただ単に回すこととなります。『オペレーションを回すこと自体が目的化』してしまうのです。
P社は、グループ全体で「管理会計」を導入していました。担当者はそのルールを守ることが絶対で「顧客のニーズを満たす」「売上に繋がる」ことは〝仕事ではなかった〟のです。
ただ、このルールは「会社の利益や顧客志向という正義から出た規範」ではなく、自分たちが楽になるという意味で〝ローカルルール〟です。ローカルルールは自分たちでさらに〝やり易いやり方〟に変えていきます。
保全性は、ディストレス状態においては近視眼的になりやすく「その場」「その時」の嫌な気分を回避する方向に動きやすくなります。「黙り込む」「固まる」「視野が狭くなる」さらに「追随的」なのです。
余裕があれば、工夫改善的できちんと仕組化してくれるので、重宝がられ「顧客のためになる取り組み」も当然出来るのですが、オペレーティブに陥ると、「組織の目的」や「仕事とは何か」を忘れてしまうのです。
そう言えば、最近、政府機関で統計データの間違いがありました。彼らはほぼ保全的組織風土だと思いますが、「自分たちが楽にできるなら(手を抜けるなら)楽にしたい」という意味で〝ローカルルール〟を作り易くなります。
悪気があったかどうかは別にして、ローカルルールでの「オペレーションを回すことが目的化された」と、分析しています。
保全性のこと、わかるかなぁ…。