古野のブログ

疑問から始めよう

2018.01.10

あけましておめでとうございます
本年もこれまで同様に引き続きご指導、ご鞭撻の程、よろしくお願い申しあげます。

さて、今年早々より我々は新しいサービスを提供します。「なぜ、新卒採用は無駄なのか、不合理なのか、不誠実なのか」という疑問から、それを「変えたい」となりました。
個性を活かし、組織生産性を高めることを生業にしている当社にとって、取り組まざるを得ないサービスでしたが、やっと仕組み化出来ました。詳しい内容はwebで。
今後も、一人ひとりの個人を活かし、組織として成果の出る環境を支援していきたいと思っております。

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「タレントマネジメントに取り組んでいますが、上手くいっていないので、相談に乗ってください」とメールをいただきました。そこで、「何を目指そうとして導入して、何が上手くいっていないのですか」と問いかけると、返事がありませんでした

「疑いを持つ」
私事で恐縮ですが、中学生の時に「十二人の怒れる男[*1]」の映画を観て、「なぜと考えることの重要さ」に目覚めたようです。その後高校、大学と進学していきますが、疑問を感じると「なぜなんだ」と食ってかかっていました。特に、「それが当たり前」と思っている体制側、主流派への反発心は強かったようです。
社会人になっても収まるどころかさらに疑問に思う思考は強化されたようで、入社当初から目に留まる存在だったようです。安定した組織では、どうも自分の力を発揮できないジレンマから、今の会社を創業するに至ったのです。
FFS理論の提唱者である小林博士から「疑って疑って疑い尽くせ」と教えられました。自分の過去の体験とも符合するので、その精神が今の基軸となり、支えられています。

ただ、世の中の皆さんがあまり「疑いを持たない」でいることに、目的意識の欠如、右へ倣えのマインドに少し危機感を感じています。
例えば、
・コンピテンシー
・戦略人事
・SWP (Strategic Workforce Planning)
・タレントマネジメント
・AI人事
ここ20年来の人事周辺のキーワードです。毎年トレンドのようにコンサルティング会社やシステム会社が、〝自分たちの儲けの種〟として広めているコンセプトやキーワードに、多くの会社が乗せられている感じを受けるのです。

冒頭のやりとりです。
「タレントマネジメントを導入している」
まず疑問は、そもそも「タレントマネジメントって何か? 知っているかどうか」です。
ASTD[*2]の資料(2009年)によると
「タレントマネジメントは、ビジネスゴールと整合性のとれたタレント獲得や開発、配置のプロセスを通して、文化、エンゲージメント、ケイパビリティとキャパシティを構築することで、組織に短期的及び長期的な成果を実現する、人的資本を最適化・最大化(Optimize)するホリスティックなアプローチです」
とあります。
これは、戦略的人事の本質「長期的に競争優位の源泉を生み出す取り組み」とほぼ同じレベルのことを言っているとしか思えません。
呼び名としてのキーワードが変わっただけ(少し具体的で長くなったが)で、本質的には何も変わっていないのです。昔から言われている「あるべき人事」の姿を単に言い換えているだけに過ぎないと思っていますので、「今更タレントマネジメントに取り組んでいる」と言われても、
じゃあ「以前は何をしていたの?」
「なぜ、上手くいかなかったの?」
「 なぜ、タレントマネジメントに取り組もうとしたの?」
ほぼ、この三つの質問で十分でしょう。多くの会社は答えられないと思います。

つまり、過去何もしていなくて課題は山積しているのに、それを放置して新しい概念を導入すれば、それは期待値があるかもしれませんが、失敗する確率が高いのです。
なぜか? それは運用が出来ていないから問題が山積みになっているわけで、運用に目が向いていない間は、どんなに綺麗な概念や箱を用意しても、運用できないからなのです。

システム屋さんが、提供しているタレマネの箱は綺麗なようです。しかし、箱は箱でしかなく、運用は出来ないでしょう。なぜならば、もともとが箱屋さんだからです。
そんな当たり前の理屈がなぜ通用しないか、まだまだ〝なぞ〟なんですね。
騙す側(騙す意識はなくとも結果的に)も悪いが、申し訳ないけど、騙される側も悪いのです。なぜ「なぜ出来るの?」と質問しなかったのか不思議に思います。

さて、本題に戻しましょう。
世間で言われているタレントマネジメントって、貴社に本当に必要なんですか?
それで、何を解決したいのですか?
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年頭に当たり、今年良い年にするために、まずは整理してみませんか?

 


[*1] 十二人の怒れる男 (12 Angry Men) 1957年公開 ヘンリーフォンダ主演のアメリカ映画
[*2] ASTD (American Society for Training & Development=米国人材開発機構)

株式会社ヒューマンロジック研究所 代表取締役

古野 俊幸(ふるの・としゆき)

関西大学経済学部卒。
新聞社、フリーのジャーナリストなどを経て、1994年、FFS理論を活用した最適組織編成・開発支援のコンサルティング会社・CDIヒューマンロジックを設立。
CDIヒューマンロジックのホールディングカンパニーとして、1997年に株式会社イン タービジョンを設立し取締役に就任。2004年4月からインタービジョンの代表取締役に就任。その後、社名変更を経て、現職。
現在まで約600社以上の組織・人材の活性化支援をおこなっている。チーム分析及びチーム編成に携わったのは,40万人、約60,000チームであり、チームビルディング、チーム編成の第一人者である。

A 16  B 9  C 14  D 17  E 3 / DAC

使命感、決断力をもって、有事に変革を推し進めることを得意とする。組織先導型。

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