古野のブログ
本質を問いかける4 「人事にマーケティング力って、本当?」
2017.02.09
先日、知り合いの人事部門の方と話しをしていると大手コンサルティング会社から「人事系のサイトによく登壇する人たちが『人事にマーケティング力が求められている』と言っているようです。貴社にも必要ではないですか? 少しレクチャーさせてください」と申し出があったようです。
人事にマーケティング力ね。皆さんどう思いますか?
同感しますか?
さて、そもそも「マーケティング力」って何でしょう。
元々マーケティングとは「市場に向かわせる」という語源がありますね。
「マーケティングの神様」と評されるフィリップ・コトラーの定義を引用すると「マーケティングは本物の顧客価値を生み出すための活動で、顧客の生活向上を支援する概念でもある」。顧客を社員に置き換えるといいのでしょう。
そのために、現場の声を聞き、現状を知り、課題を見つける。またアンケートやサーベイを取り分析し、仮説・検証を繰り返す。そして、社員価値を生み出し、社員の生活向上に寄与する。これこそが、『人事のマーケティング力』なんでしょうが、これって、これまでの〝あるべき人事部門の姿〟とどこが違うのでしょうか?
今の人事部門に、ここで定義する「マーケティング力があるか?」と問われれば、「多くの企業の人事にはない」と答えざるを得ない状況です。残念ながら。
ただ、だからと言って、「人事にマーケティング力が求められている」と言って、新しい旗を振ることが正しいのでしょうか? 旗を振れば、変えられるのでしょうか? 変えられるのであれば、それは手段ですから、大歓迎です。
しかし、私は目新しい旗にしたからと言って変えられるとは思わないのです。
HR系のwebサイトにも言及することになりますが、現場を知らない学者や転職を重ねる自称〝プロ人事〟のトレンド話に一喜一憂するような人事ですよ。「いい話を聞いた。これからはマーケティング力だ」(新しい旗)に飛びつくのでしょうが、本来地道な方法ですから、これまで出来ていない方々には、〝猫に小判〟な話しなのです。
カンファレンス等に出る時間があれば、現場の社員と話しをすべきです。教材は社内のあちこちに散らばっています。彼らの話を聞くのは全く無駄とは思いませんが、関連書籍を読めば十分です。イベントでしか得られない知見があるとは思いません。カンファレンスで某教授にサインをもらっていた間抜けな人が居ましたが、悲しくなりますよね。
旧来の人事部門に変って欲しいと思いますが、課題意識の欠如がある限り、変われるとは思えないので、一度無くすしかない。つまり『人事部解体論』を展開しているのです。