古野のブログ
わかったふりしないで
2017.02.01
これ、問題だなと思って緊急に問題提起です。
一昨日、日経新聞で「AI人事が~」とセプテーニ・ホールディングスの取り組みが記事になっていました。それをフェイスブックで紹介していただいたパートナーのコメントにどなたかが書き込みをしていました。
AI人事と書かれると、「全てコンピュータが予測してしまう」と勘違いされてしまいますね。今、話題だから、タイトルに使ったのでしょうが、なんとも中身をわからない記者が書いちゃったのか、整理部の記者(見出しを考える内勤の人)が、目立つようなタイトルとして使ったのか、いやはやレベルの低さを露呈するようなものです。
また、新聞記者も書き込みをされた方と同様に、これまでの人事が、科学的かつデータに基づき、最適な配置や異動を立案していると思い込んでいるようです。現実的には、人事の経験値と勘レベル、「アイツいいね」という解釈された事実か、もっと最悪なのが好き・嫌いという情実での人事なのです。
私は、この会社を立ち上げて以来23年間、「組織・人事の意思決定に科学と事実を」と唱え続けてきましたが、全く反応しないか、毛嫌いされたこともありました。
ある会社の経営者からの依頼で組織を客観的に分析すると「あら、人材に偏りがあり、組織力が弱くなっていますね」なんて報告しようものなら、「人事が評価されている」と人事部長の怒りをかって、出入り禁止になったことも何度かあるほどです。
つまり、科学的なアプローチをすると「人事が壁」となった暗黙の時代が、つい数年前まであったのです。今も、そんな会社がたくさんありますが。
ビッグデータ時代の到来と共に、グーグルが〝データアナリストを置いた〟ということが紹介されて、『人事にもデータが必要だ』なんて語る方々が出て来てから、少しずつですが科学的なアプローチやデータの有効性を議論できるようになりました。
今最先端を進まれているのがセプテーニ・ホールディングスだと思います。コンセプトがしっかりしていて、トップから現場まで徹底して事実情報を共通言語として取り込まれているのは素晴らしい限りです。彼らが継続して収集して来られた「評判評価」とFFS理論の知見があるからこそ、ビッグデータでなくても仮説・検証がおこなえて、すぐに活用できることが強みなんだと思います。事実に対して真摯に向き合ってきた積み重ねが、今成果になっているのです。
さて、もう一度主張に戻ると「これまでの人事はちゃんとしていた」「新しい技術は未知数」という前提が間違っているのです。
理解していただきたいのは、「これまでの人事は、情実人事、派閥人事がまかり通り、やりっ放しで刈り取らないという、いい加減なやり方が多かった」ことから、反省した会社が「本来のあるべき人事になろう」という取り組みなんです。最新のトレンドではなく、「やるべきことに気付いた」だけなのです。
我々の考え方は、例えば、経営者や事業部トップからの組織・人の悩み相談、現場管理者の悩み相談、個人のキャリアやストレスの相談等々〝人が対面ですべきこと〟にじっくりと時間をかけるために、採用面接、現チームの評価、最適配置のシミュレーション等「自動化できることは自動化すべき」ということなのです。相談に乗れるだけの事実を持ち、分析し、シミュレーションをすることなのです。
決して、『人事のAI化』と呼ばないでいただきたいのです。