4行日記
第6回 :リーダーたれ!利他の心で行動せよ/自動車メーカー技術者(35歳)
2014.10.21
第6回は、K・Yさんの4行日記をご紹介します。
K・Yさんは自動車メーカー開発部門の技術者です。
新しいモビリティの世界の実現に向けて、日夜、課題解決に挑戦中です。
キャリアップ研修の中で4行日記50本に取り組まれました。
K・Yさんの個性は、弁別性(2つに分ける力)が高く第一因子です。
白黒はっきりさせたい、デジタル思考が得意です。
一方で「利己的になりやすい」とも自己分析されています。
キャリアップの課題は、強みと弱みを再認識したうえで
「自分の利害を超えて、高い視点で突き抜けられるか?」
更なる飛躍のための自己対峙です。
Q 4行日記の効果は?どのような変化を感じましたか?
A 大きく2段階ありました。
最初は、8本目です。アドバイザーから宣言に対して
「その先を考えていきましょう」のコメントが何度かありました。
属性を拡大していった結果、8本目で全体の繋がりを持って
「リーダー」と言える様になったと思います。
これ以降「リーダー」や「経営者」といった属性が増えました
8本目
■チームの定例会で今期の計画について話をした
◆チームの一体感は明確な目標から生まれる
●ビジョンを示し、目標を定めよ
★私は組織の力を最大限発揮させているリーダーです
(簡潔な4行、思考が整理されてきた感じです)
9本目
■講習会の参加報告を聞いた
◆他人の視点が自己の発想を広げる
●常に素直な心であれ
★私は人と共に成長している人間です
(弁別性が高いK・Yさんならではの教訓)
10本目
■“上層部の意図と主研の行動が食い違っている”と感じた
◆人は自分に都合の良い解釈をする
●相手の行動で確認せよ
★私は組織の意思を統一している経営者です
(属性が拡大しています)
Q 2段階目の変化はどのあたりでしょうか?
A 43本目です。
これ以降、「人間」という属性に変化しました。
それ以前にも「人間」という属性は出て来ていますが、
属性を拡大していった結果、より普遍的な存在としての「人間」となり、
普遍的な価値を社会にもたらしたいという自分の意思が出て来ました。
43本目
■不具合の原因はソフトではなくブラウザの設定だと判明した
◆専門知識は時として先入観となる
●簡潔に捉えよ
★私は社会の課題を解決している人間です
(視点が社会へと拡大しています)
45本目
■「技術だけでなく安全の追及こそ大手メーカーの役目」と後輩に伝えた
◆安全は信頼されて安心となる
●真摯であれ
★私は社会に安心を提供している人間です
(宣言と行動が一致し、好循環が見て取れます)
47本目
■「生産者の事が解るから高いけど買う」という話を聞いた
◆論理ではない物語に心は動き価値を見出す
●物を語れ
★私は社会に感動を与えている人間です
(自己拡大がさらに進んでいます)
50本目
■「困りごとがあればもっと言って下さい」と笑顔で言われた
◆誰かのためが喜びとやりがいになる
●利他の心で行動せよ
★私は人々を幸せにしている人間です
(究極の目標が出ていますね)
Q 50本を振り返るとどのように感じますか?
A 最後の日記が一番腑に落ちました。
ストンと心の中に入ってきたと思っています。
「利他の心」という頭で理解していたつもりの単語が、
より実感を伴って自然に出てきました。
弁別性が高く利己的になりやすい自分としては
非常に不思議な体験でしたが、
過去に読んだ経営哲学書の勉強の結果であったり、
4行日記で50本を考え抜いた結果だと思っています。
ある意味一番大きな変化点かもしれません。
K・Yさんの50本の宣言を眺めると、
働く意義、使命、生き方を見出されたことが解ります。
自問自答を繰り返し、悩まれたと思います。
「書いていて今の自分とのギャップを痛感するとともに、
飛躍しすぎているかなという思いは常にあった」と話されています。
周りや会社、そして自分の合理性を止揚した結果でもあり、
自己拡大の軌跡が4行日記には表れています。
多くの企業でキャリアップ研修や
昇格前に候補者向けの教育が実施される中、
知識を習得すればリーダーになれるのか、一考すべきという意見も聞きます。
仕事を通じて、何を成し遂げるのか、
本命題に答えられた時こそ、
真のリーダーとしての歩みが始まるのではないでしょうか。
K・Yさんが書かれた4行日記は下記よりご覧いただけます。